監視の限界を科学的に明らかにする

 

監視の限界を科学的に明らかにする

世の中は進化して便利になるという事で、最近はあらゆる産業で人間によるタスク処理が、AIやIOTを活用した効率的で正確なシステムの導入によって、どんどん進化されております。そして、これにより効率化な働き方の改革へと繋がっております。

警備業界であれば、セコムやALSOKが良く知られておりますが、いわゆる機械警備として、以前より建物への不法侵入者に対するアラート信号による遠隔監視システムが導入されております。

近年では警備ロボットの開発により、ビル内や駅構内の警戒業務を人の代わりにロボットが担う方向で進んでいるようです。プール監視の業界では、一部にプール監視システムを導入しているハイテクな施設もあります。但し、どちらも警報システムですから、異常発報後には、人が駆けつけて対応することが必要となるので、全自動ではありません。

また、プール監視システムはシステム自体が大変高価ですから導入は難しく、学校プールをはじめとした各地の公共施設プールにおける監視活動は、当分の間は人間の目による監視活動が主流であることは間違いないでしょう。

 

毎年繰り返されるプール事故

プールに関しては、毎年残念ながら事故のニュースを目にします。

私たち協会は、「プール事故ゼロ」を目指して活動しておりますが、NPO法人Safe Kids Japanさんは、2017年2月より日本スポーツ法支援・研究センターさんと、学校管理下におけるスポーツ事故の予防について取り組んでいらっしゃいますので、本日はこの場を借りて活動の内容等をご紹介させて頂きたいと思います。

2017年8月には「サッカーゴール、組体操、ムカデ競争」について、2018年3月には「野球に関する事故」について検討され、更に、毎年のように繰り返されるプールでの溺水を予防するために、夏前にはなんらかのメッセージを出したいということで、2017年秋から「プール事故予防」のシンポジウム開催に向けた検討を開始し、2018年6月に、「これで防げる 学校体育・スポーツ事故ー繰り返されるプール事故から子どもを守る」と題してシンポジュウムを開催されました。

私たちの関係者もこのシンポジウムに参加させて頂き、大変勉強になりました。

詳細は、下記にサイトアドレスを記載しておきますので、ご一読下さい。

Safe Kids Japan シンポジウム ふりかえり https://safekidsjapan.org/project/swimminginjuryprevention/

 

 

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これに関して、yahooにも、NPO法人Safe Kids Japanの理事長で小児科医でもある山中龍宏先生により「有効な溺水予防とするためのプール監視に向けた提言」として、3つの項目をあげておられます。

 

1)監視の死角を把握する

監視できる範囲には限界があり、水面の反射による死角が必ず生じる。水面の反射は外光、照明、天候などで変わるので、自分のプールで反射をチェックする。監視台の利用や監視者の移動によって死角をコントロールする。

 

2)指導方法・運用方法で補う監視の限界

監視役が何人いたとしても、自由に泳ぎ回る児童・生徒を十分に見守ることは難しい。児童・生徒への指導方法やプールの運用方法で、監視の限界を補うことが求められる。

・生徒同士のバディシステの徹底

・見学生徒による監視補助や報告

・コース利用のルールの設定(一方通行等)

・水泳帽子の色分けやナンバリング

・幼稚園や保育園における「プールを使わない」水遊びの実施

 

3)テクノロジーの導入と効果評価

・新しい「溺れ予防デバイス」(例:KingiiPLOOTA)の利用

・プール予防監視システム(例:ポセイドン)の利用 

【報告】監視の限界を科学的に明らかにしたシンポジウム「繰り返されるプール事故から子どもを守る  https://news.yahoo.co.jp/byline/yamanakatatsuhiro/20180814-00093113/

 

非常に参考となる提言です。

これらを踏まえ、プール監視員には、より実践に即した監視能力向上の教育訓練が必要とされます。

 

山中先生は、yahoo記事の最後に、消費者庁は、溺れるのを防ぐ一番の方法は保護者が常に「目」を離さないことと指摘しているが、それよりずっと有効な方法は保護者が常に子どもから「手」を離さないことである。欧米では、幼児の溺水予防には「保護者の手が届く範囲で泳がせましょう」と指導している。次に消費者庁からメッセージを出すときは、「目」ではなく、「手を離さないで」と指摘してもらいたい、と書かれております。

プール管理者は、保護者に対して「手の届く範囲で」を普及させていきましょう。

 

それでは、本日もご安全に!