WHOより緊急事態宣言

 

WHOが緊急事態宣言が出ました。

1/30に、世界保機関(WHO)が、中国で感染拡大が広がっている新型コロナウィルスへの対応に関する3回目の緊急員会が開催され、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)に該当すると宣言されました。(ようやくという感じが若干しますが・・・)

各地でのウイルス拡散が一日も早く終息するのを祈るばかりです。

 

細菌性疾患

先日はプールにおけるウイルス性疾患の事を書きましたので、本日は細菌性疾患について記載したいと思います。主な細菌性疾患というと、我々が小学生の頃に水泳の授業をお休みする生徒の中に、中耳炎による疾病の生徒がおりました。またプールよりも公衆浴場やジャグジーなどのバーデ施設で発生しやすいレジオネラ菌によるレジオネラ症疾患が有名なのではないでしょうか。

f:id:JPMA:20200131133234j:plain

急性外耳炎・中耳炎

外耳や中耳の皮膚・粘膜の小さな傷口から黄色ブドウ球菌が入り込んで感染します。耳痛や外耳道(耳の穴)の腫れ、頭痛、発熱がみられます。予防として、水泳中や後に、耳に入った水を指や綿棒など無理に取り除かないようにします。かかりやすい人は耳栓をして泳ぐのも効果的です。外耳炎にかかっているときは水泳をさせないようにします。

 

伝染性膿痂疹とびひ

黄色ブドウ球菌が原因で飛沫感染します。皮膚に1㎜~2㎜の水疱ができ、1日~2日後には指頭大まで大きくなります。予防として、感染者を入水させないようにします。また、タオル類の共用を禁止します。

 

腸管出血性大腸菌感染症

大腸菌は、人や動物の腸管内に常在する菌です。多くは人に害を与えませんが、一部病原性を示すものがあります。腸管出血性大腸菌O157もその仲間です。経口感染で体内に入り、腸管内に定着し、増殖する際にベロ毒素を作ります。このため、ベロ毒素生産性大腸菌(VYEC)と呼ばれることもあります。発症の特徴は、潜伏期間が長い(2日~9日、多くは2日~5日)、わずかな菌数で発症する、激しい腹痛と下痢(水溶性、鮮血便)で、初期の症状は「かぜ」に似ています。乳幼児、高齢者などの体力のない人が感染すると「溶血性尿毒症症候群(HUS)」を併発し、重篤な場合は死亡する例があります。菌で汚染された食肉(特に牛肉)を十分に加熱しないで食べることや、汚染された井戸水を飲んだ人が保菌者となりますが、発症しない状態で(健康保菌者)消毒の不十分なプールに入ると、排出された菌が水を介して他の人に感染する、いわゆる二次感染が起こります。腸管出血性大腸菌感染症は、「感染症予防法」により、診断した医師が直ちに届出なければならない三類感染症です。

 

 レジオネラ症

レジオネラ属菌は、土壌や河川などの自然界に広く分布しています。これが人工環境である空調用冷却塔、循環利用の風呂やジャグジー、修景用水などに運ばれて増殖し、感染を引き起こします。レジオネラ症には、肺炎を主症状とするレジオネラ肺炎と発熱を主症状とし肺炎の症状がみられないポンティアック熱があります。レジオネラ肺炎は、2日~12日と長い潜伏期間の後、全身倦怠感、筋肉痛、悪寒を伴う高熱(39~41度)、乾性のせき、呼吸困難などの症状が現れ、有効な抗菌治療薬がなされないと致命率が25%にもなります(適切な治療で致命率7%程度)。ポンティアック熱は、潜伏期間が1日~2日で倦怠感、筋肉痛、発熱などのインフルエンザ様症状が2日~5日続いた後に自然治癒します。レジオネラ症は、汚染された水のエアゾル(細かい水の飛沫)を吸入することにより感染します。また、喫煙者、高齢者、慢性疾患のある人、免疫抑制剤使用者など、感染防御能力の低下している人は、発症するリスクが高くなります。レジオネラ症は、「感染症予防法」により、診断した医師が直ちに届出なければならない四類感染症です。

 

いずれもプール管理者としては、水質管理を徹底し、利用者へは遊泳前や排尿・排便後にシャワーをよく浴びさせてから、再度入水するよう指導を徹底することが大切です。それでは気温の変化が激しい時期ですので、体調管理に気をつけて生活してくださいね。