人間の集中力について

 

人間の集中力はどのくらい?

一説には、人間の集中力というのは、集中している持続時間や深さにリズムがあるそうです。それは、「15対45対90の法則」と呼ばれているそうです。つまり15分、45分、90分という事ですね。

そういえば、小学校の授業は45分位だったと思います。また大学の講義は90分位ですね。とはいえ、概ね30分位が集中力の限界だというも言われております。

 

集中出来る持続時間については諸説ありますが、一つの例としては、

 ・完全に集中できる時間は、10~15分程度

 ・集中できる時間は、20~30分程度

 ・ある程度集中できる時間は、45~50分程度

 

当協会でも安全講習会を開催しておりますが、1講義45分を目安に実施しております。受講者の皆様が集中して講義に参加していただくことで、より良い効果が得られる事を重視しております。また座学と実技講習を合わせて実施しており、適度に身体も動かすことも良い効果が得られると考えております。

仕事や資格試験の学習をするうえで、集中力の持続時間を上手く活用し、効率性を高めることで、働き方改革や資格の取得などに繋げることが必要ですね。

 

プール監視員の集中力について

プール監視員は監視に対する集中力が散漫になることを避けるため、監視場所で配置交代を行います。プール監視業務は、遊泳者の数や幼児や成人、高齢者などの遊泳者の属性により危険度が刻々と変化します。

温水プールにおいて、平日の日中に市民開放で一般遊泳者のみが利用している時間帯で、かつ数名の遊泳者の利用しかない時などは、監視状況下においてあまり変化が起こらない為、そうした状況下で監視を継続することは、監視員の集中力が低下し、それによって事故等の異常発見の見落としに繋がる恐れがあります。

そこでプール施設により異なりますが、一つの監視場所に対してプール監視員は20分から30分程度、長くても45分程度を目安に監視場所を交代します。

 

これはプールの混雑状況や監視するコンディションにより、まったく同じ施設であっても監視時間を柔軟に変更させる事で、プール監視員の集中力を維持させる工夫が安全に繋がります。

 

夏場のレジャー型プール施設においては、平日と土日祝日でプール場内の混雑状況が全く異なるケースや炎天下で湿度や外気温が異常に高かったり、直射日光でプール監視員が疲労する等、集中力が異なるケースが発生します。また水面の反射や直射日光下の監視は目の疲労が起こり、肉体労働のように身体を酷使していなくとも疲労感が蓄積されます。

 

プール監視責任者は、その日の監視状況や監視員の人数、監視員各位の経験値、体力等を総合的に勘案し、監視時間を柔軟に設定する必要があります。人間が監視を行う以上、機械ではないので、この辺を自動化することはハードルが高く、いわゆる経験値に頼る部分がまだまだ大きいのではないでしょうか。

 

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交代勤務の必要性について

プール監視員の集中力を持続させるため、定期的に監視場所を交代させることで、心身に変化を与えることで気持ちを切り替えるという手法を用います。

心身を休めるためには、休憩をとることが最も望ましい方法ですが、頻繁に休憩を取ることはプール監視員の出勤人数を増やす事になり、どこのプールでも安易に実施することは難しいのが実情です。

 

そこで、監視を行う配置場所を適宜変更し、プールの安全を確保しつつ、監視員の集中力の維持を図る手法を取り入れております。監視場所を交代する中で、監視台からの監視やプールサイドから監視の他、有事の際に駆けつける待機要員として、待機という監視ポジションも設定し、監視場所をローテーションして対応することが一般的です。

 

同じプール監視業務であっても、監視場所の交代による持ち場の変更により、監視するポイントに変化が起こります。競泳を主目的に利用されるプールと水深の浅い幼児用プールでは監視するポイントが異なります。

これらのことから、プール監視員の気持ちがリセットされ、集中力の低下を防ぐことに繋がります。

 

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配置場所の変更による変化の例

ア)利用者による違い

 ・幼児用プール:幼児や保護者に対する応対

 ・水深の深いプール:背のつく、つかない者に対する応対

 ・プールの出入り口付近:新規来場者や退水者に対する応対

 

イ)監視環境の違い

 ・日差しの状態:直射日光、日なた、日陰、水面からの反射

 ・視界の違い:見通しの良い場所、悪い場所(工作物の陰)

 ・快適差の違い:湿度の高い場所、風通しの良い・悪い場所

 ・注意内容の違い:メガホンを使用する場所、対面で案内をする場所

 

交代時の注意事項

プール監視員の交代では、監視行為が中断されることが絶対にないようにして交代を行います。

 

交代時の主な注意事項

ア)交代は次の交代する監視員が到着してから

 交代要員が見えたからと、安易に移動しないことを基本とします。必ず交代要員が到着し、引継と連絡事項を確認してから監視場所の移動を開始します。引継と連絡事項が特にない場合においても、「特にありません」ということを確認します。

 

イ)引継時にプールに背を向けない

 監視に使用している用具(メガホンやトランシーバー等)を確実に受け渡しを行います。慌ててトランシーバーを水中に落下させて、それにより監視が中断することが無いように特に配慮します。引継と連絡事項を行うときに監視が中断しないようにするため、原則としてプール面を向いて、異常の有無を確認する為に「指さし確認」を行うことも有効です。その際、プール監視員が監視台から降りて交代する際は、交代に来たプール監視員がプール面をしっかり監視していれば、監視台を降りる時は背負向けて素早く交代すれば問題はありません。

 

ウ)引継に必要な措置を講じる

 繁忙期で混雑状況が激しいなど、安全に関する引継事項が多い場合には、交代にかかる引継時間を延ばすなどして、安全を最重視した措置行うことが必要です。引継ぎは大変重要なため、不安全な状態にならないように特に注意が必要です。交代にかかる引継は、その日特有の変化等を伝えるものです。またベテランの監視員とビギナー監視員が交代した場合は、不慣れな監視員が監視を行うことによって、不安全な監視場所とならないことが必要です。この為、ビギナー監視員にベテラン監視員をマンツーマンで暫く指導するなどのサポート体制をとる工夫が求められます。

 

エ)交代の頻度

 プール監視員の交代は、その頻度が多すぎると引継等にかかる時間が多くなり、ローテーションを一巡するまでの時間が長くなり、その結果、業務への支障が大きくなったりします。しかし、少なすぎると監視業務の集中の低下につながります。このため、プールの混雑状況等に合わせた適度な頻度での実施が必要です。概ね、目安としては、20分~45分程度の範囲での交代が適切です。

 

人間の集中力の持続時間を考慮し、マンパワーによるプール監視活動の効果を高め、各プール施設におかれましては、安全なプール管理に取り組んで頂ければ幸いです。

それでは、本日はこの辺で。