プールでの疾病について

 

有明アリーナ完成披露式典開催される。

今夏は東京2020オリンピック・パラリンピックの開催年です。

巷を騒がすコロナウィルス騒動の終息状況によっては、開催そのものが危ぶまれているとのニュースも聞こえてきます。

そんな中、今夏の東京五輪パラリンピックの競技会場となる「有明アリーナ」(東京都江東区)の完成披露式典が2月2日(日)に開かれました。

大会で競技が行われるバレーボールと、車いすバスケットボールのデモンストレーションもありました。この施設については、大会後は民間運営となり、スポーツやライブイベントなどで黒字を目指す予定だそうです。

 

新国立競技場が、トイレの数が少ないことやウォシュレットが無いこと、座席間隔が狭すぎること、通路が狭いことなど一部ネットでの酷評記事を目にしたりもしますが、有明アリーナはいかがなものでしょうか。ちなみに、水泳競技については「東京アクアティクスセンター」が竣工に向けて内装・設備・外構工事の仕上げに入っている頃だと思います。

 

有明アリーナ管理運営事業運営権者候補者の決定について

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/03/29/30.html 東京都

 

プールと病気 

さて、そのようなスポーツ施設の中で、衛生管理について、法令の規制をうけるものは水泳場(プール)だけでしょう。

これは、施設の衛生面の管理を怠ると、疾病の発生につながる恐れがあるため、いかにプールの衛生管理が重要であることを示しています。

 

プール管理にあたって、より良い施設づくりとその維持管理に心がけ、良質な水質を保持し、利用者に対して安全・安心な環境を提供して快適な水泳を楽しんでもらうことが大切です。

 

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水泳では、衛生、健康、安全などに関して十分な配慮が必要です。

例えば、プールの水質管理を怠ると感染症の流行を招くことがあり、また、水泳は身体が受ける圧力(気圧と水圧)や温度差(気温と水温)などの環境の差が著しく運動量も激しいため、心臓などに異常のある者や風邪などの疾病を有する者に対して「水泳の制限や禁止」の措置が必要な場合もあります。その為、プール管理者は保健衛生の知識を高め、プール施設の衛生管理のみならずプールと病気に関する知識の習得が大切になります。

 

ウィルス性疾患と細菌性疾患について

先日、水泳場におけるウィルス性疾患と細菌性疾患について記事を書きました。

感染症とは、細菌やウイルスなどが体に入り増殖することによって起きる病気のことです。

細菌とウイルスは、どちらも人間に感染症を引き起こす微生物です。感染症とは細菌やウイルスなどの病原体が体に入り増殖することによって、さまざまな症状をもたらす病気です。ちなみにウイルスと細菌の違いってなんでしょうか。これは、ものすごく簡単に言ってしまうと、「大きさ」と「基本構造」と「ひとへの感染・増殖の方法」ですね。

 

まず「大きさ」ですが、細菌よりウイルスの方がものすごく小さいです。

 

「基本構造」ですが、ウイルスの基本構造は、粒子の中心にある核酸と、それを取り囲むカプシドと呼ばれるたんぱく質の殻から構成された粒子です。細菌の基本構造は、細胞膜と細胞壁を境に、細胞外構造として線毛や鞭毛があり、細胞内構造は染色体とリボソームのみです。そして細菌で特徴的なのは細胞の形態で、球菌(球形)、桿菌(棒状)、らせん菌、糸状細菌などがあります。

 

「ひとへの感染・増殖の方法」では、ウイルスは単独では増殖できないので、人の細胞の中に侵入して増殖しますが、細菌は体内で定着して細胞分裂で自己増殖しながら、人の細胞に侵入するか、毒素を出して細胞を傷害します。

詳しい内容については、専門書なり専門家の書いた資料や記事をご参照頂くとして、水泳場(プール)においては、適切な衛生管理と水質管理が必要であるという事ですね。

 

私が聞いた話では、スイミングスクールが出来始めたばかりの1960年代から1970年代の頃は、水泳場(プール)の水質管理の為に、生徒達は遊泳前のシャワーの際、石鹸で身体を清潔にしてから遊泳していたという話を聞いたことがあります。

 

遊泳前のシャワーの有効性 

現在では、ろ過機の性能向上や塩素消毒による水質向上などにより、遊泳前に石鹸やシャンプーで身体を洗ってから遊泳するという事はありませんが、遊泳前には汗や皮膚の垢、整髪料、化粧などはよく落としてから遊泳することが必要です。

油分はろ過機では除去しきれないからです。夏場はサンオイルを塗った方がそのまま泳いだら、水面が油分でテラテラしていたという事がよくありました。また、安全面から遊泳前にシャワーをよく浴びることで外気温と水温の差による身体の慣れにもつながります。

 

今夏、無事に東京五輪でアスリート達の活躍する姿を見たいですね。風邪が流行る時期でもあります。外出後の「手洗いとうがい」の基本をお忘れなきように!