安全なプール管理

 

プール監視員の監視能力

今日はプール監視員の監視能力についてお話したいと思います。昨今、プール監視業務は、「人の生命、身体、財産を守る」業務であるという事で、プール監視業務を他人からの依頼を受けて商売として行う場合は、警備業による法規制のもとで行うことが明確になっております。

 

ひと昔前は、夏場のプール監視を地元のシルバー人材センターのおじいちゃんたちが暑い中で汗をふきながら頑張っている光景をみかけましたが、現在は警備業の認定を持つ団体がプール監視を行っております。

 

そこで、警備会社(ここでは警備業の認定を持って商売している企業等のことを指します)各社は、プール監視員、すなわち警備員に対して、警備業法に基づいた教育を行うことになっております。

従来の警備員に対する教育カリキュラムは、建物の出入管理等をする警備員、別の言い方をするとガードマンですね、この方たちを一人前の警備員にするための教育カリキュラムがベースとなっていますので、プール監視員の監視能力を向上させるための教育はとても重要で、警備会社各社の創意工夫により行われております。

 

当協会でも監視員の監視能力向上を図るための教育手法について講習会を開催しております。

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突然、クイズです。

では、ここで問題です。

「一人の監視員が何人の遊泳者であれば問題なく監視できるでしょうか?」

 

答えは、

 

「遊泳者の状態(人数や年齢など)、水泳場の形状(深さや大きさなど)、監視者の能力(経験値や人数など)により全く異なるため、何人ですと言えません」となります。

ずるい回答ですね。(スミマセン)

 

この答こそが、実はプール監視員が始めてとなるスタッフに、最初にきちんと伝えなくてはならないポイントになります。

 

お子様から目を離さないで! 

以前、このブログで「保護者の方はプールで遊泳するお子様から目を離してはいけません」という内容の記事を書かせて頂きました。

 

これは厳密にいうと手の届く範囲です。保護者が目を離した隙にプールへ連れてきたお子様が溺れてしまう事故が過去に起こっております。

 

この場合、保護者は勿論、プール監視員ではありませんが、自身が連れてきた1人や2人の幼児を監視することさえ、時に困難になる事があるとも言えます。

 

プール監視員は、屋内プールで監視するのか屋外プールで監視行うのか、混雑状況、遊泳している人は誰なのか、様々な要因により監視員に求められる要求は変化します。

 

施設管理者は混雑状況に合わせて監視員を柔軟に増員する責任があると、過去のプール事故による裁判事例で述べられております。

 

例えば、幼児園児が多数泳いでいるプールを監視するのと高等学校の水泳部の生徒が練習で遊泳している状況を監視するのでは、まるで監視の仕方が異なることを考えれば明白ではないでしょうか。

 

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PTAによるプール監視

毎年、夏休み期間に小学校ではプール開放が行われてきましたが、この時にプールサイドで監視活動をするのは、大概PTAの方たちです。

この方たちはプール監視のプロではありません。児童のお世話をするために当番で駆り出された保護者の方たちです。

 

最近はネット社会ですから、安全水泳について検索すれば、知識は得られますが、実地(具体的な監視方法)については現場で適切な指導を受けていないと、不安定な監視活動に繋がる恐れがあります。

 

ヒヤリ・ハットの活用

当協会の安全講習会ではプール監視について、車の運転に例えてお話します。車を運転するには、交通法規の理解と運転技術の両方が必要です。そして実際に道路で車を運転すると、事故にはならなかったものの、ヒヤッとしたりハッとした事を沢山経験しながら運転経験が積み重なってより安全な運転ができる優良ドライバーへと成長していく事になります。

 

安全リスクを低減するための有効な手法の一つに、労働安全や自動車運転でも用いられている「ヒヤリ・ハット」事例を活用した安全教育がプール監視においても有効です。

 

当協会では、各プール施設で実際にあった「ヒヤリ・ハット」の事例を活用した安全教育を行っております。ちなみに「ヒヤリ・ハット」とは、事故に至る可能性のあった出来事の「発見」です。

つまり事故に至る可能性があったものの、事故に至る前に発見されて防ぐことができた場合のことです。そして「ヒヤリ・ハット」に関する法則としては有名なものに、ハインリッヒの法則というものがあります。

 

ハインリッヒの法則 

ハインリッヒの法則とは、1つの重大事故の背景には、およそ29の軽微な事故があり、さらにその背景には300のヒヤリハットが存在することを法則化したものです。

このハインリッヒの法則は、アメリカの保険会社において技術・調査部の副部長をしていたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが、1928年の論文で発表した災害における統計に基づいています。

 

ハインリッヒは5000件以上におよぶ事故事例から、この法則を統計的に導き出して発表しました。ハインリッヒの法則では、重大事故の背後には多くのヒヤリハットが存在していることを数値化したわけです。

 

ですから私たちは、プールの各施設でヒヤッとしたこと、ハッとしたしたこと現場においてスタッフ間で共有してもらい、軽微な事故、重大事故に繋がる前の「事故リスクの芽」を小さいうちに摘み取ってしまうことで、事故リスクの低減化を図るよう、講習会で重点的にお話させて頂いております。

 

勿論、ヒヤリ・ハットの状態は好ましい事ではありません。

しかし、このアラートを早めに処理する事で安全リスクが低減していく好機と捉え、具体的な有効対策を練ることが大切です。

早めの準備をお忘れなく!

プールでの疾病について

 

有明アリーナ完成披露式典開催される。

今夏は東京2020オリンピック・パラリンピックの開催年です。

巷を騒がすコロナウィルス騒動の終息状況によっては、開催そのものが危ぶまれているとのニュースも聞こえてきます。

そんな中、今夏の東京五輪パラリンピックの競技会場となる「有明アリーナ」(東京都江東区)の完成披露式典が2月2日(日)に開かれました。

大会で競技が行われるバレーボールと、車いすバスケットボールのデモンストレーションもありました。この施設については、大会後は民間運営となり、スポーツやライブイベントなどで黒字を目指す予定だそうです。

 

新国立競技場が、トイレの数が少ないことやウォシュレットが無いこと、座席間隔が狭すぎること、通路が狭いことなど一部ネットでの酷評記事を目にしたりもしますが、有明アリーナはいかがなものでしょうか。ちなみに、水泳競技については「東京アクアティクスセンター」が竣工に向けて内装・設備・外構工事の仕上げに入っている頃だと思います。

 

有明アリーナ管理運営事業運営権者候補者の決定について

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/03/29/30.html 東京都

 

プールと病気 

さて、そのようなスポーツ施設の中で、衛生管理について、法令の規制をうけるものは水泳場(プール)だけでしょう。

これは、施設の衛生面の管理を怠ると、疾病の発生につながる恐れがあるため、いかにプールの衛生管理が重要であることを示しています。

 

プール管理にあたって、より良い施設づくりとその維持管理に心がけ、良質な水質を保持し、利用者に対して安全・安心な環境を提供して快適な水泳を楽しんでもらうことが大切です。

 

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水泳では、衛生、健康、安全などに関して十分な配慮が必要です。

例えば、プールの水質管理を怠ると感染症の流行を招くことがあり、また、水泳は身体が受ける圧力(気圧と水圧)や温度差(気温と水温)などの環境の差が著しく運動量も激しいため、心臓などに異常のある者や風邪などの疾病を有する者に対して「水泳の制限や禁止」の措置が必要な場合もあります。その為、プール管理者は保健衛生の知識を高め、プール施設の衛生管理のみならずプールと病気に関する知識の習得が大切になります。

 

ウィルス性疾患と細菌性疾患について

先日、水泳場におけるウィルス性疾患と細菌性疾患について記事を書きました。

感染症とは、細菌やウイルスなどが体に入り増殖することによって起きる病気のことです。

細菌とウイルスは、どちらも人間に感染症を引き起こす微生物です。感染症とは細菌やウイルスなどの病原体が体に入り増殖することによって、さまざまな症状をもたらす病気です。ちなみにウイルスと細菌の違いってなんでしょうか。これは、ものすごく簡単に言ってしまうと、「大きさ」と「基本構造」と「ひとへの感染・増殖の方法」ですね。

 

まず「大きさ」ですが、細菌よりウイルスの方がものすごく小さいです。

 

「基本構造」ですが、ウイルスの基本構造は、粒子の中心にある核酸と、それを取り囲むカプシドと呼ばれるたんぱく質の殻から構成された粒子です。細菌の基本構造は、細胞膜と細胞壁を境に、細胞外構造として線毛や鞭毛があり、細胞内構造は染色体とリボソームのみです。そして細菌で特徴的なのは細胞の形態で、球菌(球形)、桿菌(棒状)、らせん菌、糸状細菌などがあります。

 

「ひとへの感染・増殖の方法」では、ウイルスは単独では増殖できないので、人の細胞の中に侵入して増殖しますが、細菌は体内で定着して細胞分裂で自己増殖しながら、人の細胞に侵入するか、毒素を出して細胞を傷害します。

詳しい内容については、専門書なり専門家の書いた資料や記事をご参照頂くとして、水泳場(プール)においては、適切な衛生管理と水質管理が必要であるという事ですね。

 

私が聞いた話では、スイミングスクールが出来始めたばかりの1960年代から1970年代の頃は、水泳場(プール)の水質管理の為に、生徒達は遊泳前のシャワーの際、石鹸で身体を清潔にしてから遊泳していたという話を聞いたことがあります。

 

遊泳前のシャワーの有効性 

現在では、ろ過機の性能向上や塩素消毒による水質向上などにより、遊泳前に石鹸やシャンプーで身体を洗ってから遊泳するという事はありませんが、遊泳前には汗や皮膚の垢、整髪料、化粧などはよく落としてから遊泳することが必要です。

油分はろ過機では除去しきれないからです。夏場はサンオイルを塗った方がそのまま泳いだら、水面が油分でテラテラしていたという事がよくありました。また、安全面から遊泳前にシャワーをよく浴びることで外気温と水温の差による身体の慣れにもつながります。

 

今夏、無事に東京五輪でアスリート達の活躍する姿を見たいですね。風邪が流行る時期でもあります。外出後の「手洗いとうがい」の基本をお忘れなきように!

としまえんは閉園なのでしょうか。

 

としまえん閉園のニュース

昨日は2/3という事で節分でしたね。

皆さんは年の数だけ豆を食べましたでしょうか。コンビニでは恵方巻が販売されておりました。毎年、売れ残りの廃棄問題が社会的なニュースにもなっております。

食品ロスの問題は、販売企業として今後更に大きな課題になります。そうゆう時代になりました。

 

さて、話は変わりますが昨日のニュースで西武ホールディングス(HD)がグループ企業の運営する遊園地「としまえん」(東京・練馬)を2020年以降、段階的に閉園する検討をしているという情報がありました。

なんと跡地の一部には米映画大手ワーナー・ブラザースが人気映画「ハリー・ポッター」のテーマパークが検討されているとのことです。また、東京都が防災機能を備えた公園を整備する方針だそうです。現在、西武HDとワーナー、東京都などが交渉を進めているようです。

 

都民や首都圏の方達は、としまえん遊園地やプールに遊びに行った方も多数いらっしゃることでしょう。

テーマパークビジネスは時代の変化や他のアミューズメントビジネスとの競争の激化などありますから、閉園の流れも時代の波といったものでしょうか。

 

昨夏、としまえんのプールでは、「ふわふわウォーターランド」という大変大きな浮島やウォータースライダー・ジャングルジムを備えた超大型の遊具で女児が死亡するという大変悲しい事故が発生しました。

女児は貸出用のライフジャケットを着用しており、プールに浮かんでいる遊具の下に潜り込んだ際に、ライフジャケットの浮力で抜け出せなくなった可能性が大きかったようです。

一緒に来ていた保護者の方は女児がいなくなって探していたそうです。ご冥福をお祈りいたします。

 

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出典:としまえん

 お子様から目を離してはいけません!

夏季プールでは、夏休みには突入した時期の土日やお盆時期などは、ものすごく混雑になる日があります。

監視員が配置されていても、監視員ひとり一人が視認できる範囲が不十分になりやすい状況が発生します。この為、小さなお子様を連れて来場される保護者の方は目を離さないことが鉄則なのですが、複数のお子様を連れている場合は、難しいことが多々あります。場内放送等で何度も呼び掛けても難しいのが現状です。

 

過去のプールでの事故事例をみても、幼児の事故では、保護者が目を離したすきに溺れるケースが大半です。

監視員をはじめとしたプールスタッフも場内の混雑率が高い場合は、水面を含めた十分なスキャニングが困難になります。

子供たちが暑い夏にプールに遊びにいきたいというはやる気持ちを理解しつつ、小さなお子様を持つ保護者の皆様におかれましては、何卒、目を離さないようお願いします。

お子様が幼児用の水深の浅いプールで遊んでいるのをスマホを見ながらチラチラと見守っているのを見かけたりもしますが、プールへ連れてきた際は、スマホは仕舞って可愛いお子様の笑顔を目に焼き付けてあげてくださいね。

これは海や川で遊ぶ時も勿論同じですよ。

WHOより緊急事態宣言

 

WHOが緊急事態宣言が出ました。

1/30に、世界保機関(WHO)が、中国で感染拡大が広がっている新型コロナウィルスへの対応に関する3回目の緊急員会が開催され、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)に該当すると宣言されました。(ようやくという感じが若干しますが・・・)

各地でのウイルス拡散が一日も早く終息するのを祈るばかりです。

 

細菌性疾患

先日はプールにおけるウイルス性疾患の事を書きましたので、本日は細菌性疾患について記載したいと思います。主な細菌性疾患というと、我々が小学生の頃に水泳の授業をお休みする生徒の中に、中耳炎による疾病の生徒がおりました。またプールよりも公衆浴場やジャグジーなどのバーデ施設で発生しやすいレジオネラ菌によるレジオネラ症疾患が有名なのではないでしょうか。

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急性外耳炎・中耳炎

外耳や中耳の皮膚・粘膜の小さな傷口から黄色ブドウ球菌が入り込んで感染します。耳痛や外耳道(耳の穴)の腫れ、頭痛、発熱がみられます。予防として、水泳中や後に、耳に入った水を指や綿棒など無理に取り除かないようにします。かかりやすい人は耳栓をして泳ぐのも効果的です。外耳炎にかかっているときは水泳をさせないようにします。

 

伝染性膿痂疹とびひ

黄色ブドウ球菌が原因で飛沫感染します。皮膚に1㎜~2㎜の水疱ができ、1日~2日後には指頭大まで大きくなります。予防として、感染者を入水させないようにします。また、タオル類の共用を禁止します。

 

腸管出血性大腸菌感染症

大腸菌は、人や動物の腸管内に常在する菌です。多くは人に害を与えませんが、一部病原性を示すものがあります。腸管出血性大腸菌O157もその仲間です。経口感染で体内に入り、腸管内に定着し、増殖する際にベロ毒素を作ります。このため、ベロ毒素生産性大腸菌(VYEC)と呼ばれることもあります。発症の特徴は、潜伏期間が長い(2日~9日、多くは2日~5日)、わずかな菌数で発症する、激しい腹痛と下痢(水溶性、鮮血便)で、初期の症状は「かぜ」に似ています。乳幼児、高齢者などの体力のない人が感染すると「溶血性尿毒症症候群(HUS)」を併発し、重篤な場合は死亡する例があります。菌で汚染された食肉(特に牛肉)を十分に加熱しないで食べることや、汚染された井戸水を飲んだ人が保菌者となりますが、発症しない状態で(健康保菌者)消毒の不十分なプールに入ると、排出された菌が水を介して他の人に感染する、いわゆる二次感染が起こります。腸管出血性大腸菌感染症は、「感染症予防法」により、診断した医師が直ちに届出なければならない三類感染症です。

 

 レジオネラ症

レジオネラ属菌は、土壌や河川などの自然界に広く分布しています。これが人工環境である空調用冷却塔、循環利用の風呂やジャグジー、修景用水などに運ばれて増殖し、感染を引き起こします。レジオネラ症には、肺炎を主症状とするレジオネラ肺炎と発熱を主症状とし肺炎の症状がみられないポンティアック熱があります。レジオネラ肺炎は、2日~12日と長い潜伏期間の後、全身倦怠感、筋肉痛、悪寒を伴う高熱(39~41度)、乾性のせき、呼吸困難などの症状が現れ、有効な抗菌治療薬がなされないと致命率が25%にもなります(適切な治療で致命率7%程度)。ポンティアック熱は、潜伏期間が1日~2日で倦怠感、筋肉痛、発熱などのインフルエンザ様症状が2日~5日続いた後に自然治癒します。レジオネラ症は、汚染された水のエアゾル(細かい水の飛沫)を吸入することにより感染します。また、喫煙者、高齢者、慢性疾患のある人、免疫抑制剤使用者など、感染防御能力の低下している人は、発症するリスクが高くなります。レジオネラ症は、「感染症予防法」により、診断した医師が直ちに届出なければならない四類感染症です。

 

いずれもプール管理者としては、水質管理を徹底し、利用者へは遊泳前や排尿・排便後にシャワーをよく浴びさせてから、再度入水するよう指導を徹底することが大切です。それでは気温の変化が激しい時期ですので、体調管理に気をつけて生活してくださいね。

暖冬を実感!

 

暖冬を実感しますね。

首都圏は昨日もかなり暖かく3月並みの陽気でした。

本日も最高気温が17℃予想で、朝から暖かく、通勤時にも身体が強張らないので楽です。(^^♪

とはいえ、今年の暖冬で雪不足による経済的な弊害のニュースが聞こえてきます。

雪不足によるスキー場や除雪車の出動縮減による業者の売上への打撃など。

豪雪による弊害もありますが、雪を使ったイベントなど観光業への影響も大きいようです。雪不足は、雪解け水の減少につながり、生活水としての水不足や農業への影響も考えられます。

 

大型台風や豪雨災害、そして暖冬による雪不足、近年は環自然境の大きな変化にさいなまれる時代になりました。日頃の備えの大切さをもとに、今一度、身の回りの点検と準備が必要ですね。

 

天候によるプールへの影響

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プール運営では、特に夏季営業のプールでは、その年の夏の天候により集客に大きな影響があります。

 

記憶に新しいところでは、2018年の夏は酷暑でした。最高気温が35℃を超える日が多数あり、外出を控えた方が良いといった状況でした。プールの水温も気温に比例してどんどん上昇しました。元来、プールに冷却装置など備えているような施設はありませんので、屋外プールでは、夜間に外気温が下がらないとプール水温も下がりません。

この為、涼を求めてプールに来ても、「ちっとも水が冷たくない、気持ちよくない!」という状況になります。

 

安全管理の面でいえば、熱中症のリスクから外気温が高温の場合、屋外での活動を禁止・制限する必要があります。

屋外プール開催については、水温が22℃未満は身体の影響があるとして下限値の目安がありました。

 

プール開催基準の目安

学校での水泳の授業や公共施設でのプール開催基準の目安として、

・水温+気温=45℃以上

・水温+気温=50℃以上

といった指標が設けられ、運用されてきました。

厚労省の「遊泳用プールの衛生基準」にも、原則として22℃以上とすることが明記されております。(ちなみに競泳の場合は水温が24℃位が良いといわれております。激しい運動になりますから入水時はヒヤッとしますが、レース中はコンディションとして最適になりますね。)

 

ところが、水温と気温の合計値の目安である上限値には、これといった目安がありませんでした。一昔前は盛夏の時期であっても、外気温が35℃超えるようなを日はそうそうありませんでした。しかし、現在では夏場の屋外活動では、熱中症リスクが大変大きくなりました。2018年の経験から、翌年の夏季プール開催については、上限の目安として、水温+気温=70℃や75℃といった指標で運用した施設が多かったようです。

 

いずれにしても、暑い夏の時期に一時の涼を求めてプールや海水浴、河川での水遊びに行くわけですが、水温が高くなりすぎて気持ち良さが半減する時代になりました。

 

そして昨年の2019年の夏は、全国的に冷夏になり、多くの夏季開催のプール施設では集客への影響が大きかったのは記憶に新しい所です。

夏なのに、ぼんやりしたお天気の日は集客もさることながら、売店のアイスやジュースの売れ行きも芳しくありません。プールスタッフも閑散した施設では、水面監視をする際に集中力の持続が意外と難しくなる等の影響もあります。

 

今年の夏は、東京オリンピックパラリンピックの開催があり、東京圏のプール施設では夏季プール開催の時期と被ります。人手不足の影響で、プール施設の監視員や受付スタッフの不足が懸念されますので、プール営業の開催そのものが心配されますし、新型コロナウイルスの影響が尾を引いて五輪開催の足を引っ張らなけれよいのですが・・・。

 

屋外で営業展開する集客施設は、遊園地を含めて天候の影響が大きく影響されることは周知の事ですが、平年並みというのがいかにありがたいことか実感される今日この頃です。

本夏開催予定の屋外プール施設の運営者の皆様におかれましては、例年以上に早めの準備が良いと進言させて頂きます。

 

プール監視スタッフの教育研修や施設運営について何か相談事がありましたら、当協会事務局までお早めにご相談下さい。

新型コロナウイルス問題について

 

私たちはどうすればよいのか?

中国の湖北省武漢市を中心とした新型コロナウイルスによる肺炎がが巷を賑わせております。

昨日のニュースで、日本でも奈良県のバス運転手が感染したとの事。

武漢市に渡航歴が無いことからバス車内で感染した可能性が高いようで、これは人から人への感染ですから、これはパンデミックになると考えて行動するしかなさそうです。

私たちの出来る防衛手段は、せきやくしゃみによる感染を防ぐため、マスクの着用が有効だそうです。但し、マスクの外側にウイルスが付着している恐れから、着用中や捨てる際に触れないことが大切だそうです。そして手洗いをしっかりする事、うがいは水よりイソジンなどのうがい薬が良いようです。

接触した可能性により発熱や体調不良を感じたら、早めの受信が感染ぼ拡大防止に繋がるとのことで、風邪やインフルエンザが流行る時期に重なり、大変な事になりました。

不要不急の外出を避けるのがベストと考えられますが、仕事や学校、日常生活では買い物など社会生活を送るうえで、そうもいかないのが現実ではないでしょうか。

 

プールで感染する病気とは?

さて、話は変わりますが、遊泳用のプールではプール水を介して感染する病気があります。ウイルス性疾患では、一般に、プール熱といわれる「咽頭結膜炎」、はやり目の「流行性角膜炎」、目の充血や強い痛み、目ヤニを伴うアポロ病ともいわれる「急性出血性結膜炎」、みずいぼの「伝染性軟属腫」などがあります。

 

咽頭結膜炎(プール熱

アデノウィルス(3,4,7型)が原因で、接触感染により発症し、夏から秋にかけて小児や学童に流行します。主症状は、午後から夕方にかけて高くなる39℃前後の発熱、のどの腫れと痛み、リンパ節の腫れなど咽頭炎の症状及び結膜炎です(潜伏期3日~5日)。咽頭結膜熱は、「感染症予防法」による五類感染症です。

 

流行性角結膜炎(はやり目

アデノウイルス(8、19、37型)が原因で、接触感染により発症します。プール水よりもタオル類の共用などにより感染する可能性が高いため、タオル類の貸し借りは避けるようにします。流行は、春から夏にかけてみられ、主症状は、結膜と角膜の炎症による流涙、充血、目やに等です。乳幼児や小児では、偽膜をつくり易いのが特徴です。耳前リンパ節腫脹がみられることもあります(潜伏期5日~7日)。流行性角結膜炎は、「感染症予防法」による五類感染症です。

 

急性出血性結膜炎(アポロ病)

急性出血性結膜炎は別名アポロ病といいます。これは、アポロ11号が月面着陸を果たした1969年に世界的に流行した病気だからです。日本では翌1970年に大流行しました。エンテロウイルス(70型)、コクサッキーウイルス(A24型変異株)が原因で、接触感染により発症します。急な発症で、眼痛、充血、目やにが主症状です。耳前リンパ節腫脹がみられることもあります(潜伏期1日~2日)。急性出血性結膜炎は、「感染症予防法」による五類感染症です。

 

伝染性軟属腫(みずいぼ)

ポックスウイルス群による飛沫感染で発症します。皮膚に中央部のくぼみとやや白っぽい光沢のある1㎜~10㎜の丘疹(半球状隆起)が現れます。

 

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予防としては、咽頭結膜炎と流行性結膜炎はアデノウィルス、急性出血性結膜炎は円テロウィルス、コクサッキ―ウィルスによって感染しますが、汚れの少ないプール水中では、残留塩素濃度0.4㎎/ℓ~1.0㎎/ℓで不活性化が可能といわれています。

従ってプール管理者は、プール水の塩素消毒を徹底して行うとともに、利用者に対して、水泳後のうがいと流水による手洗い、洗眼を徹底させ、また、タオル、ハンカチ、目薬などを他人と共用させないこと等が効果的な予防法です。

みずいぼも、タオルの共用禁止、更衣室の床の清掃と乾燥、ビート板や遊具等の清潔及び水泳後のシャワーによる十分な身体の洗浄を行うことが大切です。

目のウイルス感染症予防は、洗眼が有効と言われておりましたが、近年、水道水による洗眼は、塩素で角膜を負傷する危険があるといつ学説があります。この為、ゴーグルの着用が推奨されます。学校では児童生徒の体質によっては、学校医の指導のもと、プール遊泳後に防腐剤無添加の人工涙液の点眼や、簡単に水道水で目の周りを洗うなどの対応も必要であるとされております。

 

やはり、健康第一が基本です。

寝不足、運動不足、栄養不足は体調を崩す原因になります。

風邪をひいたら、とにかく暖かくして睡眠をとることが一番です。

日頃から、正しい「手洗い」「うがい」を習慣化しましょう。

私たち協会の活動について

 

一般社団法人 日本プール管理業協会の活動について

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私たち、一般社団法人 日本プール管理業協会は、

プール管理全般に関する正しい知識を普及することによって、

利用者の安全・安心を確保し、国民の健康増進に寄与することを目的とし、

  

○プールの管理運営に関する各種セミナーの開催

○プール施設の安全管理及び同施設内で活動する監視員等の能力向上施策の推進

○プール内で使用する資材・機材・薬品等の適正な使用方法の普及

○水難事故防止のための利用者参加型の安全活動及び指導の推進

○プール施設所有者及び施設建設予定者に対する安全施策の提案、協力

○関係機関、団体との恒常的な連絡調整による時機に即した活動の実施

  

等の事業を行っております。

 

 

今後、日々の活動状況やプール管理にまつわる事について有益な情報を発信してまいります。

よろしくお願いします。